現地時間10月26日にジョー・バイデン大統領によりKathi Vidal氏が商務省の次期知的財産担当次官および米国特許商標庁長官に正式に指名されました。
Vidal氏は、「Performing the Duties and Functions of the Under Secretary of Commerce for Intellectual Property and Director of the United States Patent and Trademark Office (USPTO)」という長い肩書きで職務を遂行してきたDrew Hirshfeld特許担当委員の後任となります。
Vidal氏の評判
ほとんどの知的財産関係者は、Vidal氏が強力で有能な候補者であることを認めていますが、一部の関係者は、Vidal氏がシリコンバレーとつながりがあることから、オバマ政権下の2015-2017の間USPTOで長官を務めていたGoogle出身のMichelle LeeのときのようなUSPTOの方針に戻る可能性があることを懸念しています。
Vidal氏の経歴
Vidal氏は現在、2017年からWinston & Strawnのシリコンバレーオフィスのマネージングパートナーを務めており、その前の20年間はFish & Richardsonで訴訟部門のグローバルヘッドや同事務所の経営委員会のメンバーを務めていました。また、Chamberlain Group社のガレージドアオープナーに関する特許が特許適格であると認められるための連邦巡回控訴裁判所での訴訟、およびその後の最高裁判所への申請において、同社を代理したチームの一員でした。SAP America, Inc. v. InvestPic事件では、SAPの代理人として連邦巡回控訴裁判所で弁論を行い、勝訴しました。裁判所は、InvestPic社の特許請求項は抽象的であり、特許として適格ではないと判断しました。このように、クライアントを擁護している間の彼女の弁護士としての経験では、特許適格性の問題の両方(有効・無効)を主張しています。
Vidal氏は、本日の発表で「全米でも有数の知的財産弁護士」と評されており、ポール・ミシェル判事から米国連邦巡回区控訴裁判所の候補者として推薦されています。彼女のバックグラウンドは、数理物理学とプログラミングであり、電気工学の学士号と修士号を取得しています。彼女はゼネラル・エレクトリック社でシステムおよびソフトウェア設計エンジニアとして5年間勤務し、同社のエジソンエンジニアリングプログラムを卒業しました。また、「航空機の故障診断のための最初の最先端エキスパートシステム(ニューラルネットワーク、ファジーロジック、エキスパートシステム)のひとつを設計した 」とのことです。
また、今回の発表では、多様性(diversity)の問題に関するVidal氏の優れた実績も強調されています。彼女は、法律、技術、規制政策の分野で女性の地位向上を目指す非営利団体「ChIPs」の4人の法律事務所顧問委員の1人です。彼女は、Next Genイニシアチブを設立し、若手弁護士のトレーニングや機会を積極的に提唱しています。 また、Winston & StrawnのExecutive Committee and Diversityのメンバーでもあります。
指名発表はおこなわれましたが、候補者の承認に向けた手続きが取られるのは2022年2月か3月になると思われるので、正式にVidal氏がUSPTOの長官として活躍するまでにはもう少し時間がかかりそうです。
リンク:ホワイトハウスのアナウンスメント