ITCで暫定的な仮決定が可能になり早期解決が期待

米国国際貿易委員会(ITC)は、337条調査における、暫定的な仮決定(intermediate initial determination)を発行することを可能にするパイロットプログラムを発表しました。このプログラムにより行政法判事(ALJ)が限られた問題を早期解決させることができ、ITCにおける問題の早期解決が期待されています。

公式発表はこちらから

このパイロットプログラムは、2021年5月12日以降に開始されるすべての調査に適用され、ALJの判断により2021年5月12日以前に開始される調査にも適用されます。

このパイロットプログラムによって、ALJは、通常の大掛かりな証拠審理に先立って、訴訟を解決できる(または和解を促進する)重要な問題に焦点を当てた暫定的な仮決定を下すことができます。想定される問題としては、侵害の有無、特許無効性、特許適格性、スタンディング、国内産業要件などが考えられます。

ALJがこのパイロットプログラムを利用するかの裁量権を持ち、スケージュールの変更やディスカバリーの停止も可能になっています。

暫定的な仮決定は、調査における通常の証拠審理の開始予定日の45日前までに発行されます。

ALJは、事実関係の記録を作成し、証拠開示のためのヒアリングを行い、パイロットプログラムの一部である個別の問題についてブリーフィングを受けます。

暫定的な仮決定はITC委員会による審査の対象となります。

ITC委員会は、暫定的な仮決定の発行から45日以内に審査するかどうかを決定し、審査があればさらに45日以内に解決します。

参考記事:ITC Initiates Pilot Program to Allow ALJs to Issue Interim Initial Determinations

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