いい特許を得るための弁理士との会議のポイント

明細書を書く代理人と発明開示会議で発明について話し合うときのポイントは、代理人に発明をよく理解してもらうことです。今回はそのためのポイントを紹介します。

複雑な発明の場合は背景の理解が大切なので、会議の時間を十分確保した上で、技術背景を説明する時間をもちましょう。特にソフトウェアの発明で、最先端の技術に関わるものだったり、発明が複雑な場合には、会議が2時間かかることも珍しくありません。どれだけ背景に関する説明が必要かは発明の内容や弁理士の知識にもよるので、事前に確認できるのであれば、会議の前に直接代理人と数分話すといいでしょう。

発明に関して説明する場合、問題提議から解決方法というストーリー性を意識して話すと、代理人に喜ばれます。というのも、特許出願は、発明が解決する問題から始まるストーリーだからです。また、発明による解決方法を説明する際に、すでに存在する別の解決方法だったり、従来の技術で行われていることを話してもらえると助かります。特許で権利化できるのは、先行技術と差別化できる「新しい」部分なので、既存の技術と今回の発明の違いを代理人が理解することで、より正確に特許明細書でストーリーが語れます。

発明の説明する時に、用語を使うことが多いと思いますが、その用語の説明を怠らないようにしてください。これも担当する代理人の理解度や過去の付き合いに関係するので一概には言えませんが、企業特有の略語は特に説明が求められます。また、特許ではより広い権利を確保するために、あえて企業固有の技術名、あるいは業界用語を使わずに、一般的な用語や説明を用いる場合もあります。

詳細が特許の質を高める大きな要素です。基本、特許明細書に記載する内容が多ければ多いほど、特許庁における審査過程を通過する可能性が高くなります。審査官は発明者ほどの専門知識をもっていないので、発明を十分に説明できるだけの詳細が必要です。さらに、拒絶対応でクレームを補正するときにも、詳細な説明があると補正がしやすいという利点もあります。

会議では話すだけでなく、代理人が質問しているかも意識しましょう。代理人が質問しているということは、理解している証拠です。逆に、ただ単にうなずいているだけだと、ちゃんと発明や技術を理解していない可能性があります。会議を終わる前に、必ず代理人の口から発明のポイントを話してもらい、自分が納得いく精度で理解しているか確認しましょう。

代理人がクレームを書いたら、解説してもらいましょう。クレームは特許で一番重要な部分で、権利の範囲を特定するものです。しかし、発明者を含む専門知識をもっていない人にとって、理解しづらいものであるのも確かです。そのため、少なくとも独立クレームに関しては、書いてもらったら、代理人に直接解説してもらってください。それだけで、クレームの内容の理解が格段に変わります。

参考文献:A Great Patent Starts With A Great Invention Disclosure Meeting

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

money
訴訟
野口 剛史

アメリカにおける第三者による訴訟資金提供の実態

訴訟が頻繁に起こるアメリカでも5年前までは第三者による訴訟資金提供は滅多にありませんでした。しかし、近年この市場が急速に拡大し、数億ドル(100s M)規模の市場になっており、契約違反、独禁法違反、知財訴訟などに資金を提供するファンドへの投資が増えてきています。

Read More »
supreme-court
再審査
野口 剛史

最高裁判決:連邦政府機関はAIAにおける特許再審査手続きが行えない

2019年6月10日、アメリカ最高裁は、Return Mail Inc v United States Postal Serviceにおいて、連邦政府機関はAIAで定められた特許再審査手続きを申し立てることができないと判決を下しました。この判決により、今後、連邦政府機関はinter partes, post-grant やcovered business method reviewsにより特許の有効性について挑戦することができなくなりました。

Read More »
vision
特許出願
野口 剛史

スタートアップのための知財戦略(その1)

スタートアップを起業する場合、特許は大切です。特許は自社のコア技術を守るだけでなく、投資家がスタートアップに投資する際の重要な判断材料にもなります。今回はスタートアップがするべき知財戦略について5ポイントをまとめました。その2では、残りの6ポイントをシェアーします。

Read More »