商標権と意匠権が交わるとき:デザインに商標が含まれている場合の注意点

30年近くの間、被告の製品のデザインに商標が含まれていることは、意匠特許(design patent)侵害の分析においてあまり意味を持ちませんでした。しかし、今回紹介するケースにおいて、陪審員が商標の外観や配置が、特許デザインとは「異なる視覚的印象を普通の観察者に与える」可能性があるかどうかなどを検討したことで、その状況が変わりました。

ケース:Columbia Sportswear North America, Inc. v. Seirus Innovative Accessories, Inc. 3:17-cv-01781 (S.D. Cal Aug.6, 2021)

このケースにおいて、陪審員は、商標を含む被告のデザインは問題となっている意匠特許を侵害していないという判断を下しました。

今回の陪審員の判断は、連邦巡回控訴裁の長年の判例から逸脱しています。L.A. Gear v. Thom McAn Shoe Co., 988 F.2d 1117, 1126 (Fed. Cir. 1993)において、連邦巡回控訴裁は、以下の靴のデザインと被告人の靴に示されるように、マークやラベルを含むことは意匠特許侵害を回避しないとしています。

L.A. Gearの判例は、長年にわたり、商標の存在が意匠特許侵害に対する絶対的な防御(absolute defense )ではないことを意味していました。侵害者は、「ラベリングを入れることで侵害の回避」できないというのが今までの通例でした。

しかし、今回のColumbiaとSeirusの訴訟で、それまでの「常識」にメスが入れられました。

Columbiaは、手袋や寝袋のライナーに使用されている熱反射素材の表面パターンが意匠特許を侵害しているとして、ライバル社のSeirusを提訴。

連邦地裁は、L.A.Gearに基づき、のSeirusの商標である「ラベリング」を無視し、意匠侵害の略式判決を下しました。しかし、この地裁の判決は、事実認定者が「被告の名前が含まれているという理由だけで、被告のデザインの要素を完全に無視することはできない」との理由で、連邦巡回控訴裁が覆します。

連邦巡回控訴裁は、陪審員は「装飾的なロゴ、その配置、およびその外観を、特許されたデザインと被告のデザインとの間のその他の潜在的な違いの一つとして考慮すべきである」とし、連邦地裁が「Seirusのデザインのある要素が、普通の観察者にColumbiaのデザインとは異なる視覚的印象を与えるかどうか」について正しくない事実認定を行ったと結論づけ、侵害に関する裁判を行うように連邦地裁に事件を差し戻しました。

その後、地裁における再審理の結果、陪審員は、Seirus のデザインは Columbia の意匠権を侵害していないとの評決を下します。再審議における連邦地裁の判決は 2021 年 8 月 10 日にくだされましたが、また連邦巡回控訴裁判所への控訴が行われる可能性があります。

教訓

このケースは現在も係争中ですが、Columbia v. Seirusから得られる教訓は以下の通りです:

デザインに含まれる商標は、意匠特許侵害の責任を制限する可能性があること。今後は商標と意匠権がどのように関連しているかを注意深く考えることは重要であり、特定のタイプのデザイン、特にロゴやブランド名の処理が視覚的に目立つようなデザインは、侵害分析において大きな影響を与える可能性があります。

また今後は、ブランド力を高めるなかで意匠特許のポートフォリオの開発を積極的におこない、今回のケースを踏まえて権利行使の可能性を模索しながら知財ポートフォリオを形成することが求められます。

参考文献:When Trademarks and Design Patents Intersect: Making Waves in Columbia v. Seirus

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