通常、特許訴訟は権利行使された特許がすべて無効になると訴訟自体が破棄されるのです。しかし、今回のケースでは、不当行為(inequitable conduct)に関する請求は訴訟が事実上終了した後でも、継続する可能性があることが示されました。
連邦地裁判事は Parallax の全ての請求と反訴の棄却および最終判決の記入に対する申し立てを一部認めましたが、不当行為の反訴に関する申し立ては否定し、訴訟が事実上終了したあとでも審議が継続することになりました。
ケース:Parallax Grp. Int’l, LLC v. Incstores LLC, No. 8-16-cv-00929, 2022 U.S. Dist. LEXIS 157921 (C.D. Cal., August 16, 2022)
訴訟が権利の無効等で実質終了しても、関連特許による権利行使が懸念される場合は不当行為に関する追求も可能?
Parallaxは、連動発泡フロアマットに関する米国特許第9,289,085号(「085特許」)、D532,238号(「D238特許」)およびD543,764号(「D764特許」)の侵害でIncstoresを提訴しました。被告Incstoresは、非侵害、無効、不当行為に基づく執行不能(「不当行為の反訴」)、および合理的な弁護士費用の付与を求める35 U.S.C. § 285に基づく例外事例の認定を求める反訴を提起しました。
この訴訟の過程で、Parallaxは、D238特許(これは最近再審査で取り消された)に関する侵害請求を取り下げました。また、D764特許は、裁判所により無効と判断されました。さらに、’085特許は、再審査においてPTABにより特許不成立とされ、連邦巡回控訴裁でこれが支持されました。
Parallaxの訴訟には何も残されていなかったため、当事者は、Parallaxの侵害請求を棄却し、Incstoresによる非侵害および無効の反訴も棄却することに合意しました。しかし、Incstoresは、申し立てにより弁護士費用を請求することができました。
残された唯一の問題は、Incstoresが不当行為(inequitable conduct)に対する反訴を追及する権利を有するかどうかでした。Incstoresは、不当行為の認定は、例外的なケースを示すのに有用であるだけでなく、本件で争われていない関連特許が存在し、Parallax社がまだ行使を試みることができ、それが不当行為に関与している可能性があると指摘しました。
参考文献:Inequitable Conduct Claim Can Progress Even After the Case Is Complete