特許訴訟において、35 U.S.C. § 287 に基づく訴訟を起こす以前に関する賠償金を得るためには実際の通知(actual notice)を被告におこなっている必要があります。この実際の通知の条件を満たすには、一般的な「警告」では不足で、特定の被告製品による侵害の具体的な内容が含まれている必要があります。
判例:LUBBY HOLDINGS LLC v. CHUNG
特許権者であるLubby Holdings LLCとそのライセンシーであるVaporous Technologies, Inc. (以下、総称して「Lubby」)は、Henry Chungを侵害で訴えます。陪審員が損害賠償を命じた後、Chungは、Lubbyは、35 U.S.C. §287が要求する、自らの特許製品のマーキングやChungへの侵害の実際の通知を示すことができなかったため、訴訟前のいかなる侵害に対しても損害賠償を受ける権利がないと主張しました。 連邦地裁はこの申し立てを却下しましたが、控訴され、連邦巡回控訴裁(CAFC)で審議されました。
CAFCは、Lubbyは、§287に基づく表示または実際の通知を示す責任を果たしていないと判断。
裁判で提出された証拠では、1)Chungが特許の発行を知っていたこと、2)侵害しないようにという一般的な警告を受けたこと、が示されましたが、Lubbyは、訴訟の前に特定の被告製品による侵害の具体的な警告をおこなっていたという証拠はありませんでした。
従って、CAFCは、Lubbyには訴訟前の損害賠償を受ける権利はないとし、訴訟提起後に販売された侵害製品の数を決定するために、新たな裁判を行うよう地裁に差し戻しました。
参考文献:A General Warning Against Infringement Is Not Actual Notice of Infringement