特許侵害を回避するためのFTOのポイント6つ

FTO(Freedom-to-Operate)またはクリアランスの調査は、製品や技術の商業的な立ち上げを計画する前に行う最も重要な作業の一つです。企業は、製品/技術のライフサイクルの中で、創業時、研究開発段階、そして最終的には商業的な立ち上げの前など、様々な段階でこのような調査を行います。そこで、今回は、FTOを行う際のポイント6つを紹介します。

FTOの重要性

FTO分析を慎重に行うことは、直前の障害やそれに伴う商業的損失を避けるために重要です。FTO検索は、単にキーワードを抽出して特許データを分析するだけではありません。経験豊富な特許サーチャーや弁護士は、情報に基づいたビジネス上の意思決定につながる最大限の健全な情報を提供することで、アウトプットに大きな違いをもたらします。

1. 最近のPCT出願を検索対象に含める

特許権には地域性があるため、商業的に重要な地域を慎重に選択することが何よりも重要です。しかし、このような地域を選択する際、最近のPCT出願も検索パラメータに含める必要があります。

なぜなら、このようなPCT出願は、後にこれらの商業的に重要な地域の国内段階に入る可能性があるからです。例えば、ある企業がヨーロッパと中国で製品を商品化したいと考えている場合、特許データセットを正確に検索するために、検索パラメータにEP、CN、および最近のPCT出願を含める必要があります。また、検索後に新しい領域を追加すると、無駄な費用がかかる可能性があるため、FTO検索の開始時にすべての主要な管轄区域をリストアップしておくことも重要です。

2. マルチデータベース検索プラットフォーム/ツール 

特許検索に使える商業的な業界標準データベースがあります(例:Questel Orbit、Derwent Innovation、PatSeer、STN)。これらのデータベースを複数使うデュアルデータベース戦略(少なくとも2つのデータベースで検索を実行する)を行うことで、個々のデータベースの索引付けや検索者による検索演算子の使用におけるエラーを排除することができます。

また、関心のある地域の各国特許庁のデータベース(USPTO、Espacenet、JPO、WIPO-PatentScopeなど)を追加して検索するのも有効な方法です。単一の特許データベースに基づいた特許検索戦略では、特許データの検索が不完全になり、誤った検索結果になる可能性があります。

3. 特許分類に基づく検索を含む 

技術領域を包括的にカバーするためには、幅広いキーワードで特許分類に基づいた検索を行うことが重要です。この戦略を実施するためには、特許検索者は、特定の技術分野における主要な特許クラスについて十分なノウハウを持ち、また、検索に関連する可能性のあるいくつかの特許を用いて、これらのクラスを確認する必要があります。

最も広く使用されている特許分類システムには、国際特許分類(IPC)と協同組合特許分類(CPC)があります。例えば、診断マーカーに関するFTO検索を行う場合、C12Q(酵素、核酸、微生物を含むプロセスの測定またはテストに関するもの)およびG01N(化学的または物理的特性を決定することによる材料の調査または分析)のクラスを含めることが有効です。

4. 特許調査の時間枠を慎重に選ぶ 

FTO(Freedom-to-operate)調査は、一定の時間範囲で制限されているため、時間軸の選択を誤ると、潜在的に関連性のある結果がレポートから除外される可能性があります。特に、長期の臨床試験を必要とし、米国や欧州を含む多くの管轄区域で約5年間の特許期間延長が認められているヒト用医薬品や生物学的製剤に関する調査を行う場合、注意を払う必要があります。

経験豊富な調査専門家の多くは、関連性のある特許を見逃さず、また最近期限切れとなった特許に関する追加情報を提供するという二重の利点を持つ、25年のタイムフレーム調査を推奨しています。

5. 主要な競争相手やトップ発明者に関するデューディリジェンス 

キーワード検索や特許分類検索とは別に、調査プロトコルには、その分野の主要な競合他社やトップ発明者の追加調査を含める必要があります。主要な競合他社やトップ発明者のリストは、特許検索の結果に基づいて作成する必要があります。

他の検索では得られなかった可能性のある追加の特許結果を特定するために、これらのプレイヤーや発明者を幅広いキーワードで検索することが推奨されます。多くの場合、関連性のある特許の請求項は、検索者が使用する検索用語を迂回できるように作成されているため、このような戦略は、関連性のある文献の特定に役立ちます。

6. 古い非特許文献の特定 

非特許文献は、Freedom-to-Operateの検索とは直接関係ありません。しかし、多くのエキスパートサーチャーや弁護士は、FTO意見書の作成において、関連する非特許文献の重要性を理解しています。したがって、このような古い先行技術文献、特に非特許文献を特定することは、FTO意見を作成する際に非常に役立ちます。

参考文献:Freedom-to-Operate (FTO) or Clearance search strategies for avoiding patent infringement

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