CAFCが故意の侵害に対する別基準は存在しないことを明確化

SRI Int’l, Inc. v. Cisco Sys., Inc., No. 2020-1685 (Fed. Cir. Sept. 28, 2021)において、米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、陪審員の故意侵害の判断を支持し、連邦地裁の追加損害賠償の裁定を復活させました。

この事件の一回目の控訴において、CAFCは、連邦地裁が故意侵害を認めなかった判決および追加の損害賠償の裁定を無効としました。再審理の結果、連邦地裁は、Ciscoの行為が「意図的、悪意のある、悪意に満ちた行動」(wanton, malicious, and bad-faith behavior)のレベルに達していないと判断し、故意侵害の陪審員の評決を取り消しました。また、故意の侵害ではないと判断した連邦地裁は、損害賠償額の増額を認めることを拒否。

2回目の控訴である本案件において、CAFCは、陪審員が下した故意侵害の判断に対して実質的な証拠が裏付けていると判断し、陪審員の評決を復活させました。その際、CAFCは、追加の損害賠償(enhanced damages)を正当化する行為と、より低い基準である故意侵害(willful infringement)との区別を明確にしました。

故意侵害には、「意図的な侵害ではないこと」(no more than deliberate or intentional infringement)が必要です。一方、追加の損害賠償enhanced damages)は、「意図的、悪意のある、悪意に満ちた行動」(wanton, malicious, and bad-faith behavior)に対してのみ適用されると、その違いを明確にしました。

また、CAFCは、連邦地裁が最初に下した追加の損害賠償の裁定を、故意侵害の評決が復活したことを考慮して適切なものとし、最初の裁定に裁量権の乱用はないと判断しました。

参考文献:Federal Circuit Clarifies That There Is Not a Heightened Standard for Willful Infringement

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