2021年の特許付与件数のデータを見ると、全体で7.5%減少し、トップランクの事務所を見ても去年に比べ減少していることがわかりました。特に、コンピューター関連の付与数が減っており、徐々にコロナ禍における出願状況の変化が見えてきました。
コロナ禍で特許発行数が減少
2021年、米国特許商標庁による特許付与件数が全体として7.5%減少しており、発行特許数でトップ20にランクされた法律事務所のほとんどが昨年はマイナス成長を経験しました。
テクノロジーセンター別に見ると、この傾向は、半導体企業にサービスを提供している事務所に最も影響を及ぼしています。また、コンピュータアーキテクチャ、ソフトウェア、情報セキュリティなどのテクノロジーセンターでは、特許付与件数がわずかに増加したのは1事務所にとどまりました。
分析結果をまとめた専門家によると、2020年ごろからコロナの影響による影響が出てきて、その影響が2021年の落ち込みをもたらした可能性があるとコメントしています。これは特許における、出願と審査予算でラグから起こったことだと予想されています。
その一方で、前年比で大幅な成長を遂げた特許事務所もあり含まれています。専門家によると、知財を保有する企業が、コロナをきっかけに今までと同等の質でありながらも、より低料金の事務所を探して、シフトしたのではないか?と推測しています。
詳しい調査が必要と補足したものの、全体では前年比で特許発行件数が7%減少していることから、成長した事務所の成果を考えると、ビジネスを拡大しているか、出願を増やした顧客を抱えているかのどちらかである、と述べています。
一方、多くの仕事を失った大手事務所の中には、コロナの影響を受けて戦略転換を図ったところもあるのかもしれないとコメントしています。
テクノロジーセンター別による大きな違い
さらに、テクノロジーセンター別で減少傾向を分析することで、パンデミックが業界別にどのような影響を与えたかをより正確に推測することができます。下の表は、テクノロジーセンター別における上位25事務所の2020年から2021年までの平均的な前年比の変化を計算しました。
このデータによると、半導体の出願準備や特許実務を担当する法律事務所が最も落ち込み、次いで通信セクターを担当する法律事務所が続いています。
大手法律事務所のうち、発行特許数の増加につながったのは、コンピュータアーキテクチャ、ソフトウェア、情報セキュリティ技術センターのみで、その増加率は2%とわずかなものでした。
ランキングにも大きな変化が
今回のランキングデータで興味深いのが、2021年に発行された米国特許の総数に基づいてランキングを見ると、Fish & Richardsonが2020年の1位Oblonを抜かしてトップになっています。
しかし、上位20位までのリストに掲載されたほとんどの法律事務所は、前年比でマイナス成長となりました。その例外は、Perkins Coieで、2021年の特許付与数が前年比で20%急増し、初のランキングインを果たしました。
参考文献:Covid impact on US patent filings is now becoming clearer