模倣品対策:デザイン特許をアメリカの国境で行使する際の注意点

デザイン特許は近年自動車からファッションまで様々な分野で注目されている知財ですが、模倣品がアメリカへ輸入される際に税関で押収することはできません。そうするには、トレードドレスとして登録しておく必要があり、その取得の難易度が高くなります。このようなシステムは他の国とは異なるので注意が必要です。

  1. 米国では、税関職員は、登録された米国の著作権又は商標を侵害する輸入品を押収する権限を法律で与えられているが、登録された米国の意匠権を侵害する輸入品を押収する権限はない。このため、米国は、EU、日本、韓国及び中国のように登録意匠権を国境で執行している法域に比べて異例の存在となっていることに注意。
  2. その代わりに、米国の税関職員は、製品デザインを侵害する商品を、そのデザインがトレードドレス(商標の一形態)として特許商標庁に登録されている場合にのみ押収することができる。製品デザインのトレードドレスを米国で登録するには、「二次的意味」(secondary meaning)を示す必要があり、その証明には数年かかることもあるため、長くて高価なプロセスとなりがちだが、同じデザインをデザイン特許として登録すると、そのような証明なしに直ちに取得することができる。 
  3. これにより、知的財産権の所有者がそのデザインをトレードドレスとして登録することに成功しない限り、登録されたデザイン特許を侵害する商品を少なくとも数年間は合法的に輸入することができるという抜け道ができている。
  4. 現在提案されている2019年偽造品押収法(S.2987)(Counterfeit Goods Seizure Act of 2019)は、関連する関税法である合衆国法典第19編第1595a(c)(2)(C)に「意匠特許」を明示的に追加することでこの抜け穴を塞ぎ、米国の国境執行を、登録意匠権を既に執行している他の多数の世界的な管轄区域と一致させることが期待されている。

参考文献:Anti-Counterfeiting: Enforcing Design Patents at the Border

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