核酸配列に関する事件で、米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、当業者は発明当時、主張されたクレームでカバーされている核酸の全範囲のうち、狭い範囲でしか成功させる方法を知らなかったであろうという理由で、非実施可能性(non-enablement)の陪審評決を支持しました。
判例:Pacific Biosciences of California, Inc. v. Oxford Nanopore Technologies, Case No. 21-2155, -2156 (Fed. Cir. May 11, 2021) (Taranto, J.)
CAFCは、特許権者の専門家は、クレームでカバーされている核酸の狭いサブセット、すなわちDNAヘアピン分子について、主張されたクレームの実施に成功したことを証明したに過ぎないと指摘。
裁判所は、PacBio社が主張された請求項で示されているナノポアシーケンス方法を実施したことがないことを認めた証拠を引用し、PacBio社の実施は実際の実施化(actual reduction to practice)ではなく、推定の実施化(constructive reduction to practice)であることに注目しました。
さらに、裁判所は、Oxfordが、ナノポア・シーケンシングを使用して生物学的なDNAを配列することが当該分野の研究者によって可能になったのは、優先権主張日から2年後の2011年になってからであるという証拠を提出したことも考慮しました。
その結果、裁判所は、PacBio社は主張されたクレームでカバーされている核酸の全範囲のうち、狭い範囲をうまく実施できたであろうことを証明したにすぎないと判断。重要なのは、あらゆるテンプレート核酸の配列決定に関する主張クレームの範囲であるため、地裁における実施可能性の欠如(non-enablement)の認定を支持しました。