今年4月末までのPTABからCAFCに控訴された案件の統計データを見ると、IPRがその大半を占め、さらにそのIPR控訴の約73%がPTABにおける結果を全面的に支持するものになっています。個別案件における控訴の判断は各案件の状況に応じて判断されるべきですが、このような統計データと傾向も考慮するといいでしょう。
控訴件数とその内訳
2022年4月30日までに、連邦巡回控訴裁(CAFC)は、PTABからのIPR、CBM、PGRの1,035件の不服申し立てに対処してきました。これらの控訴の大部分はIPRによるもので、PGR控訴の微増をCBM控訴の減少がうまく相殺しているような現象が見られます。
控訴件数の大半を占めるIPRの控訴結果の内訳
IPRの控訴において、CAFCは、累計で708件(72.76%)においてPTABを支持し、129件(13.26%)においてPTABの決定を覆す、または取り消し、102件(10.48%)において混合(少なくとも1つの争点が肯定され、少なくとも1つの争点が取り消し、または、覆った)の判決を下しました。また、裁判所は、本案に関する判決を下すことなく、34件(3.49%)のIPR控訴を棄却(Dismiss)しました。棄却は、例えば、PTABにおける審査開始(Institution)決定に対する一部の控訴など、CAFCが控訴を審理する管轄権を有しないと判断した場合のことを指します。
CBMの控訴結果の内訳に大きな変動はなし
CBM控訴審において、CAFCは、37件(74%)においてPTABを支持し、5件(10%)においてPTABをの決定を覆す、または取り消し、4件(8%においてPTABをの決定を覆す、または取り消し、。これらの統計は、2022年3月31日までの内訳から変更はありません。
PGRの控訴は数えるほどしかない
PGR控訴において、CAFCは、7件(58.33%)においてPTABを支持し、1件(8.33%)においてPTABをの決定を覆す、または取り消し、4件(33.33%)においてPTABをの決定を覆す、または取り消しました。またPGRの不服申し立てが棄却されたケースはありませんでした。
全体で見ると70%以上がPTABを肯定する結果に
IPR、CBM、PGRの各控訴の判決を総合すると、CAFCは、752件 (72.66%) においてすべての問題を肯定し、107件 (10.34%) において混合結果を出し、138件 (13.33%) においてすべての問題を取り消しまたは撤回し、38件 (3.67%) を棄却しています。
意見書なしの肯定が減少傾向にある
CAFCは、PTAB控訴審の膨大な件数を管理するための重要な手段として、完全な意見書を提出することなくPTABを支持するRule 36 affirmanceを採用しています。これまで検討された1,035件のIPR、CBM、PGRの控訴のうち、447件(43.19%)で、CAFCはRule 36 affirmanceの肯定を行いました。つまり残りの588件(56.81%)の事件においては、CAFCは何らかの意見書を発表したことになります。
統計を追っていくと、Rule 36 affirmanceが活用される頻度は若干ですが減少傾向にあり、そのトレンドは今回の結果でも見られます。
参考文献:Federal Circuit PTAB Appeal Statistics Through April 30, 2022