契約上の仲裁合意はPTABの審査開始決定を拘束しない

ライセンス契約には仲裁条項が含まれていることがほとんどで、特許の有効性に関しても仲裁が用いられると明記されていることが多いです。しかし、CAFCは、IPR手続きは契約に拘束されないので、仲裁をおこなわなくてもPTABにおけるIPRが行えるという考え方を示しました。

米国連邦巡回区控訴裁判所は、特許審判部(PTAB)による当事者間レビュー(IPR)の審査開始決定への介入を拒否する命令を出し、さらに、MaxPower社とROHM Japan社の間の紛争について契約上要求される仲裁が行われるまでPTABのIPR審査開始決定を停止する令状を拒否しました。

判例:In re: MAXPOWER SEMICONDUCTOR, INC., Case No.21-146 (Fed. Cir. Sept. 8, 2021) (Reyna, J.) (O’Malley, J., part in concurring and dissenting in part).

MaxPower社は、シリコントランジスタ技術に関する特許を所有し、ROHM Japanにライセンスしていました。ライセンス契約には仲裁条項(arbitration claus)が含まれており、特許の有効性を含め、ライセンス契約に起因または関連するすべての紛争に適用されていました。

しかし、ライセンスされていた特許が炭化ケイ素トランジスタのローム製品に適用されているかどうかについて、当事者間で争いがおこり、MaxPower社がROHMにライセンス契約に基づく仲裁を開始することを通知した後、ROHMはMaxPower社の4件の特許の有効性をPTABに申し立て、PTABはROHMの申し立てを認めて4件の特許のIPRを開始しました。

このPTABのIPR開始決定を不服として、MaxPower社は連邦巡回控訴裁判所に控訴します。MaxPower社は、仲裁人がIPR手続きが適切であると判断した場合にのみ、IPR手続きが行えるとして、その手続をふんでいない現在進んでいるIPR手続きを停止または終了を求めました。

しかし、連邦巡回控訴裁判所は、MaxPower社の主張を認めず、IPR手続きは契約に拘束されないという考えを示しました。そのため、MaxPower社が本件におけるPTABの審査開始決定が「明らかに、議論の余地なくその権限を超えている」ことを示すことができなかったと判断し、35 U.S.C. § 294はPTABに民間の仲裁合意を施行する権限を与えていないと付け加えて説明しました。

参考文献:Federal Circuit: Contractual Arbitration Agreements Don’t Bind PTAB Institution Decisions

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