代替肉大手Impossible Foodsが競合他社Motifと、Impossibleの重要な特許をめぐって法廷闘争を続けています。今回、MotifはがImpossibleが保有するヘム技術を保護する特許を取り消すよう特許庁にIPRを要請したことによって、Impossible社は事業にとても重要な特許を失うリスクを背負うことになりました。
IPR申立書: Case No.: IPR2022-00887
訴訟をきっかけにしたIPR手続き
Impossible社は今年3月にMotifを提訴しており、同社が開発したヘムベースの牛肉代替食品が自社製品に酷似しており、重要なImpossible社の特許を侵害していると主張しました。
ケース:Impossible Foods Inc. v. Motif Foodworks, Inc., case number 1:22-cv-00311
両社とも非上場企業ですが、Impossible社の方がはるかに大きく、評価額は95億ドル(約9,000億円)に上ります。しかし、今回のIPRで、植物性食肉メーカーのImpossible Foodsは、競合のMotif FoodWorksとの間で進行中の法的紛争の一環として、重要な特許を失う危険性があります。
Impossible社の牛肉と豚肉の代替品は、遺伝子組み換え酵母から作られる大豆レグヘモグロビンを使って、本物の肉の味と香りを模倣しています。
Impossible社は、上場企業のBeyond Meatとともに、ベジタリアン・バーガーの市場の「大手」です。Impossible社の製品の特徴は、ヘムに関するものなので、もしImpossible社がヘム関連の特許を失うことになれば、肉代替市場においてさらに厳しい競争を強いられることになりかねません。
Impossible社は、Motif社のHemami製品が、Impossible社とMotif社がともに原料としている従来のビーフバーガーに含まれる分子、ヘムを使ったビーフレプリカの特許を侵害していると主張しており、Motif社は、牛のミオグロビンをヘム源として使用しています。
Impossibleの特許は、ヘム含有タンパク質、少なくとも1つの糖化合物、1つの硫黄化合物を含む筋肉レプリカを使用した牛肉代替品の発明を対象していて、少なくとも1種類の植物油と変性植物タンパク質を使用した脂肪組織レプリカによって肉を模倣する代替肉の発明も保護すると明記されています。
代替肉業界の知財の争いはこれだけじゃない
植物性食肉市場における知的財産をめぐる争いは、Motif vs. Impossibleの法廷闘争だけではありません。昨年、MeatiはBetter Meat社を知的財産の侵害で訴えましたが、Better Meat社は、資金力のないライバルをいじめようとしたものだと主張しています。
知的財産をめぐるこうした法廷での争いは、各社がより美味しい食肉加工品を開発するために、類似・関連する技術革新を追求し、市場がより競争的な段階に入りつつあることを意味するのだと思います。
参考記事:An Impossible Foods competitor is going after one of its key patents in an ongoing legal battle