AFCP 2.0は推奨される最終拒絶の対応なのか?

AFCPはRCEの頻度を減らすためのオプションとして利用されています。しかし、AFCPが適用されても審査官は複雑な検索や分析を行う時間が不足し、RCEをしなければいけないという状況になることもよくあります。うまく使えば、審査官の考え方に関する貴重な情報が得られ、権利化までの道のりを短縮する可能性があります。AFCPは、クレームの絞り込みを促進し、その代わりに審査官との面接を通じたより多くの検討と相互作用の時間を提供します。そのため、AFCPは積極的に検討するべきであり、個別案件がAFCPに適しているかどうかを適切に評価することをお勧めします。

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過去10年間、AFCP(After Final Consideration Pilot Program 2.0)は、米国特許出願人が最終拒絶(Final Office Action)を受けた際に利用できるオプションとして活用されてきました。AFCPが存在する以前は、出願人は最終拒絶日から2ヶ月の期間内に応答書を提出し、審査官からの回答を得ることができました。しかし、審査官からの回答がAdvisory Actionであることが多く、審査官の考え方がよくわからないまま、審査を継続するためにRCE(Request for Continued Examination)を提出する必要がありました。また、RCEを提出する際には、延長手数料を支払わなければならないこともしばしばありました。

2013年に導入されたAFCPは、RCEの提出頻度を減らすためのプログラムとして注目されました。特に、AFCPは、狭義のクレーム補正を奨励する一方で、審査官に検討時間を与え、審査官面接を通じて対話するように設定されました。しかし、長年にわたり、各審査官がAFCP出願に費やせる時間は、複雑な検索や分析を行うには不十分であることが明らかになりました。そのため、AFCP後にRCEを提出する必要が生じ、「AFCPにそれだけの価値があるのか」と疑問を呈する人もいます。

AFCPプログラムは、審査官と出願人の間のトレードオフです。出願人は、審査官の検討・対話の時間を増やすことと引き換えに、クレームを狭く修正する。そのため、RCEの提出が必要な場合でも、出願人は審査官から貴重な知見を得ることができ、実務を進める上で有益な情報が早い段階で得られ、権利化までの道のりを短縮する可能性があります。

しかし、AFCPが最終拒絶の対応として最適かは、個別の案件によって異なります。そのため、個別の状況に適しているかどうかを評価する際は、現地代理人と検討する必要があるでしょう。

参考記事:PTO Practice Tip: AFCP 2.0: Do We Recommend It?

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