2021年10月12日、USPTOは最終特許審査後(after-final patent prosecution practice)の実務のためのプログラム「AFCP 2.0」を2022年9月30日まで延長しました。USPTOは、審査を迅速化し、審査官と出願人の接触を増やすために、2013年に「パイロット」プログラムを開始しました。USPTOは、このプログラムの結果について統計を発表していませんが、出願人は今でもAFCP 2.0をある程度の頻度で使用しています。USPTOは、プログラム開始以来、毎年このプログラムを更新しています。
今回の更新を期に、AFCP 2.0プログラムの概要を振り返ってみましょう。
AFCP 2.0の要件
AFCP 2.0の許可を得るには2つの要素があります。
- 少なくとも1つの独立した請求項に対する狭義の補正(narrowing amendment)、および
- 審査官の要求に応じて速やかに審査官インタビューに参加する意思があること。
上記2つの要件を満たさないAfter-finalの応答は、AFCP 2.0の扱いを受けません。再発行(Reissue applications)や再審査中(reexamination)の出願は、いかなる場合もAFCP 2.0の扱いを受けることはできません。
AFCP 2.0の効率的な使い方は「もう少し」の補正で権利化できる場合です。例えば、出願人が、審査の初期段階で先行技術調査を行った際に(存在していた場合)審査官が発見すべきであった特徴を含めるためのわずかな修正(minor amendments)をすれば許可が下りると考えられる場合です。その点に関して、審査官との事前のコミュニケーションで、審査官も同じような心象を持っているとわかると更にいいです。
AFCP 2.0の要求(上記の2つの要件を含む)は、審査官が最終拒絶を出した後に、審査官が出願人の応答に対応するための時間を与えます。審査官は、適切なAFCP 2.0要求を受領すると、最終拒絶後の出願人の応答に対する更なる調査および/または検討が必要かどうか、必要な場合、どの程度の調査および/または検討が必要かを判断することができます。審査官は、時間がかかりすぎず、申請者との話し合いで許可まで持っていけると考えた場合は、申請者または申請者の代理人に連絡し、面接の日程を決めます。
審査官が過剰な時間を要すると判断した場合、最終応答の処理は通常の最終応答プロセスに戻り、審査官はadvisory actionを発行します。
このようなシステムなため、出願人がクレームの大幅な修正が必要だと考えている場合、AFCP2.0は役に立たない可能性が高いです。特に、クレームの補正が、審査官が最初の先行技術調査時に想定していなかった方向に出願を進めるものである場合、審査官は、あまりにも多くの追加時間を必要とするとして、その要求を拒否するでしょう。
また、たとえクレームの補正が軽微なものであっても、審査官がその補正が最初の先行技術調査の範囲外であると考えた場合、審査官は、必要な追加の時間と労力がAFCP 2.0プログラムが審査官に与える余分な時間を上回ると結論づけるかもしれません。
さらに、AFCP 2.0を使用しても、出願人と審査官の意見が一致せず、結局AFCP 2.0が失敗に終わってしまうケースもあります。例えば、
- 申請者と審査官の間で、申請者が提示した修正案の範囲について意見の相違がある場合、
- 審査官は、審査の初期段階で十分な調査をしておらず、その埋め合わせをしなければならないがその時間がない場合
留意点
協力的な審査官と許容に向けた適切な進捗状況であれば、AFCP 2.0は独立クレームの軽微な補正によって効率的に権利化できる有益な手段です。しかし、大幅なクレームの補正、特に審査の初期段階で予告されていないものは、多くの追加検索時間を必要とするため、AFCP 2.0を活用するのは避けた方がいいでしょう。このAFCP 2.0が成功するかどうかは、審査官が最初に行った先行技術調査の質にも関わってくるので、ケースバイケースの議論と判断が求められます。