4つの契約違反のタイプと違反リスクを軽減する3つの方法

契約違反は大きく4つのタイプに分けることができます。それぞれの特徴を知り、理想的な契約書を作成することで違反リスクを軽減することができます。契約違反リスクをゼロにすることはできませんが、取り組み次第では大きなリスク軽減が見込めます。

契約違反とは?

契約違反(Breach of contract)は、契約を結ぶ人なら誰もが直面するリスクです。

通常のビジネスでは大量の契約書を扱うので、その一部において、すべての当事者が合意した条件を満たさないという状況に陥る場合があります。

契約は法的拘束力のある決め事なので、当事者が契約上の義務を果たさない場合には、救済措置が取られる可能性があります。

契約はとても柔軟なものでシンプルなものから複雑なものまで様々ですが、契約違反自体はいくつかのタイプで分類することができます。ここでは、4つの主なタイプを紹介します。

重大な契約違反(Material Breach of Contract)

重大な契約違反とは、当事者の一方が、契約で指定されたものよりも著しく少ない利益しか得られない場合、または、契約で指定されたものよりも著しく異なる結果となる場合に起こります。

重要な契約違反には、当事者の一方が契約に定められた義務を(期限内に)行わなかった場合が含まれます。重大な違反が発生した場合、相手方はその違反に関連した(直接的および間接的な結果に基づく)損害賠償を求めることができます。

軽微な契約違反(Minor Breach of Contract)

軽微な契約違反とは、部分的な契約違反(Partial Breach of Contract)や重要でない契約違反(Immaterial Breach of Contract)と呼ばれることもあります。呼ばれ方はどうであれ、軽微な契約違反とは、契約の成果物は最終的に相手に届いたものの、違反した当事者が義務の一部を行わなかった場合を指します。

このような場合、契約違反を受けた当事者がその違反が経済的な損失をもたらしたことを証明できた場合にのみ、法的救済を求めることができます。例えば、納品が遅れた場合、契約違反を受けた当事者が、その遅れが経済的な結果をもたらしたことを証明できなければ、救済措置を受けられない可能性があります。

予期された契約違反(Anticipatory Breach of Contract)

このタイプの契約違反の場合、責任者が責任を負うためには、実際に契約違反行為が行われている必要はありません。

予期された契約違反とは、実際の違反はまだ発生していない状態であっても、当事者の一方が契約上の義務を行わないことを示している場合に起こります。これは、契約違反した当事者が相手方に義務を行わないことを明確に通知した場合に発生しますが、当事者の一方が義務を行う意図がない、または義務を行うことができないことを示す行動に基づいて、このような請求がなされることもあります。

実際の契約違反(Actual Breach of Contract)

実際の契約違反とは、既に発生している契約違反のことで、違反者が期日までに義務を行わないか、または義務を不完全または不適切におこなったことを意味します。

このような契約違反が発生した場合、救済措置にはいくつかの種類があります。これには、違反に起因する直接的な経済的損失に対処するための補償的損害賠償や、契約自体の価値を超えて違反の結果として生じる間接的な損失である結果的損失が含まれます。

違反リスクをゼロにすることはできない

契約には相手がいるので、事実上相手の行動をコントロールできない状況下において、契約違反のリスクを完全になくすことはできません。

しかし、自社の取り組み次第では契約違反リスクを抑えることができ、より円滑にビジネスを進めることができます。

リスクを軽減することはできる

契約違反リスクを低くする取り組みは様々な方法が考えられますが、ここでは3つ紹介したいと思います。

過去の契約書を参考にする

契約違反のリスクを減らすためには、可能な限り理想的な契約書を作成することが重要です。そのような契約書を作成するに当たって有益なのが、過去の契約書です。

過去の契約書を分析することで、うまく行った契約書と期待通りにいかなかった契約書の両方を分析し、脆弱性を最も軽減できる条件や条項を特定することができます。例えば、契約違反を起こした類似の契約タイプを比較すれば、回避できる表現の共通点が見つかるかもしれません。

とはいえ、細心の注意を払って作成された契約であっても、最善の意図を持って締結された契約であっても、契約違反が発生する可能性はあります。そのため、違反リスクを減らし、損失を軽減するためは、以下のような対策も合わせて検討する必要があります。

関係者全員が自分の責任を認識していることを確認する

契約の交渉に携わった人と、契約を履行する責任者やチームが異なることはよくあります。徹底した引き継ぎを行うことで、担当者全員が責任を果たすことができます。

コントラクトパフォーマンスの監視

契約の履行状況を積極的に監視することは、双方の当事者が契約上の義務を確実に果たすために重要であり、潜在的な問題を発見し、それが行動に移される前に抑制するのに役立ちます。

また、契約違反があったり、契約違反が予想される場合、損失を抑えるためには「時間」が非常に重要となります。パフォーマンス指標とマイルストーンを明確に定義したモニタリング計画を立てることで、問題の兆候をいち早くキャッチしたり、契約違反を素早く発見することができます。

このような監視には、自動通知やリマインダーの設定が役に立つでしょう。

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

歯車
訴訟
野口 剛史

特許を無効化する際のPreambleの問題

Preamble(前文)の文言がクレーム範囲を制限するのか?この問題は訴訟で争われるほど難しい問題ですが、特に方法クレームの場合、方法「そのもの」よりも「何をするのか」が重要になってくるので、Preambleがクレームの範囲を限定すると解釈されやすい。そのため、先行文献が無効化したい特許でクレームされている方法を開示していても、目的が違う場合、自明性を示すのが難しい。

Read More »
rejected-trash
訴訟
野口 剛史

地裁のindefiniteness判決がIPRの却下につながる

PTABは、Samsung Electronics Co.Ltd., v. Acorn Semi, LLC, IPR2020-01182 (2021年2月10日)において、連邦地裁が異議申立請求されていたクレームを不明確(indefinite)と判断したことに基づいて、当事者間レビュー(IPR)を拒否するという裁量権を行使しました。

Read More »
display-with-code
契約
野口 剛史

米国国防省の知財問題は中国でなくデータ

HUAWEI問題などを発端に、アメリカ政府は中国を知財問題で取り上げていますが、会見によると国防省の知財に関する認識の甘さ、特にデータの所有権問題が大きな課題のようです。これは国防省だけの問題でなく、大企業でも十分起こりうる問題です。

Read More »