特許権者にすべての発明者から発明の譲渡がされていないと、当事者適格(Standing)が認められません。当事者適格がないと、特許侵害訴訟を起こせない(起こしても、棄却されてしまう)ので、譲渡に関する書類は早い段階で発明者に署名してもらいましょう。また、発明者が譲渡を拒む場合、会社に全ての権利が移行せず、当事者適格(Standing)を満たさない場合があるので、注意が必要です。 Advanced Video Technologies LLC v. HTC Corp., et al., Case Nos. 16-2309; -2310; -2311 (Fed. Cir., Jan. 11, 2018) (Reyna J) (O’Malley, J, concurring) (Newman, J, dissenting)では、発明者の一人が譲渡を拒否したので、会社に全ての権利が移行せず、当事者適格(Standing)を満たせませんでした。 経緯: Advanced Video社はビデオコーデックに関わる特許の侵害でHTC社を地裁で訴えました。この特許は、元々Infochips Systems社のもので、いくつかの権利譲渡を経てAdvanced Videoが特許権者となっていました。この問題の特許には、3人の発明者が記載されていました。全員Infochips Systems社の従業員だったのですが、Hsiun氏は、雇用契約で譲渡の義務があるにも関わらず、彼女が持っている権利の譲渡を拒否。 その事実を知った被告HTC社は、Hsiun氏が訴訟の当事者として関わっていないことを理由にこの訴訟は当事者適格(Standing)を満たしていないとし、訴訟の取り下げを申し出ました。 それに対して、原告Advanced Video社は、Hsiun氏の雇用契約により、Hsiun氏の権利は Infochips 社に移り、その権利は、最終的にAdvanced Videoへ移ったと主張。ここで注目されたHsiun氏との雇用契約書には、3つの関連する条文がありました。 最初の “will assign” provision (譲渡条文)と“trust” provision (委託条文)で、Hsiun氏は彼女が発明したものを書面でInfochips社に開示し、Infochips社が保管すること、また、彼女のどのような発明に対する全ての権利を将来譲渡する(would assign)ということが書かれていました。また、 “quitclaim” provision(権利放棄条文)では、Hsiun氏は特許侵害に関する彼女の権利をすべて放棄することに同意していました。 しかし、この3つの関連する条文を考慮しても、Hsiun氏の権利は Advanced Video社に移行していないと地裁は判断。また、地裁は、対象特許に所有権を持つHsiun氏が訴訟の当事者として関わっていないことを理由に、この訴訟は当事者適格(Standing)を満たしていないとし、訴訟の取り下げを申し出ました。この判決を不服に思ったAdvanced Video社はCAFCに上訴。 上訴で、CAFCは、地裁の判決を支持。“will assign” provision (譲渡条文)では、Infochips社への即時の権利譲渡は行われていなかったと解釈。CAFCは、“will”という言葉は将来に何らかの行動をする意味であり、即座に譲渡をするものではないという地裁の理由を支持。 … Continue reading 特許訴訟で雇用契約の譲渡条文に頼るのは危険
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