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ウェビナー「国際離婚の被害者にならないためのアメリカ法律講座」のまとめ

家族法とは何か

ジョージア州の家族法は以下のトピックを含む:

  1. 離婚 (Divorce)
  2. 子供の親権と子供の面会権 (Child Custody or Visitation)
  3. 子供の養育費 (Child Support)
  4. 親権、養育費の変更 (Modification of Child Custody and Child Support)
  5. 養子、未成年の子どもの保護者 (Adaptation and Guardianships)
  6. (裁判所の命令に従わなかった場合適用される)侮辱罪 (Contempt Actions)            など

 

離婚することになったら、まずどうすればいいのか?

一人で対応する必要はありません!

(可能だったら)家族法を専門とする弁護士を雇う

弁護士がすすめる弁護士の選び方:

  1. 2〜3人の弁護士に実際に会って、印象の良かった信頼できる人を1人選ぶ
  2. 弁護士費用と裁判所などに支払う経費、支払い方法、支払いのタイミングなどを聞いて、予算を立てる
  3. 弁護士の経験と事務所のサポート体制(パラリーガルと呼ばれる弁護士の秘書がしっかりしている。担当弁護士に何かあったら、事務所内の他の弁護士もサポートできる体制、提携している家族法の弁護士がいるなど)
  4.  離婚訴訟が行われている群(例、ジョージア州だとFulton County, Gwinnett County, Cobb Countyなど)で家族法を専門とする弁護士を探す

国際的な案件(アメリカ以外の法律が関係する)の場合:

国際家族法(International Family Law)の経験がある弁護士を探す

 

費用について知っておきたいこと

どのように費用は決まるのか

離婚訴訟や親権、養育費の変更などの家族法に関わる訴訟の費用は様々な要因で変わる

国際的なケースは、弁護士が国外に行く旅費なども発生する可能性があるので、費用が高額になる

家や車を複数持っているなど、たくさんの資産がある場合は、費用が高くなる傾向にある

子供の親権が争われるケースはやるべきことが増えるので費用が高くなる

場合によっては、Guardian ad Litemと呼ばれる子供の権利を守る弁護士や、親権調査員(Custody Investigator)と呼ばれる親権に関する調査をする第三者が必要になり、その費用は弁護士費用とは別途に準備が必要

法律事務所の経験や専門知識。長年家族法をやっているベテラン弁護士の費用は、1年目の新米弁護士に比べて弁護士費用が高い

争われている案件が複雑だったり、争われる点が多く当事者同士が歩み寄れなかったりする場合、費用は高額になる傾向

支払い方法

時間制か定額制。家族法の弁護士は、時間制で費用を請求してくるところが大半。

時間制の場合、依頼料(Retainer)と呼ばれる必要とされる時間に対する費用の前払い制で請求される場合がほとんど。当然、相手が争うことをやめず裁判が長引き、見積もり以上に時間がかかった場合は、追加で費用の請求がある。しかし、見積もりよりも短い時間で和解、訴訟が終了した場合、一部のお金が戻ってくることもある。

定額制の場合、前払い一括、分割など様々な支払い方法がある。また、定額制でも、公判まで行ったら追加料金など、新しい費用が発生する可能性もある。

 

費用についてやるべきこと

予算について前もって弁護士と話すこと。予算をどれだけ取れるかが、案件の進むスピードに影響する場合がある。

場合によっては、弁護士費用を相手側に請求できる。なので、弁護士費用を相手側に請求できるか、早めに弁護士に相談する。

離婚訴訟や親権、養育費の変更などの家族法に関わる訴訟の費用は、弁護士費用だけにとどまらない。裁判所に支払う訴訟費用、訴訟書類の送達費用、調停の費用など第三者に払う経費に関しても早めに弁護士と話す必要がある。

 

訴訟の始まり

申立て(Complaint)から訴訟は始まる。

次に、訴訟を起こす側は、その申立てを含む訴訟書類を相手側に送達する必要がある。 送達とは、相手側に訴訟を起こしたことを通知する手続きで、主に、送達を専門に行うProcess serverという業者を使ったり、保安官経由で、訴訟書類が相手側に送ること。

相手側は、答弁書を30日以内に提出する必要がある。

次に、案件によっては、調停、和解協議、証拠開示、公判などがある。

実際、90%近くの家族法に関わる訴訟は、和解するが、和解しない場合、公判のために裁判所に出頭する必要がある。

 

調停とは

調停(Mediation)とは、当事者同士が中立な第三者と協力して和解を目指す場。

ほどんどの場合、調停者(Mediator)の費用は当事者間で折半。

調停者は時間制で費用を請求し、ジョージア州アトランタ近辺では2017年現在で時間85ドルから数百ドルが相場とのこと。時間にしても、1時間で終わるものもあれば、最大で9時間というのもある。

調停者は中立な第三者として、当事者(と、もし雇っていたら弁護士)と協力して和解で解決できるか交渉の手助けをする。

調停は推奨されるが、必ずしも調停で和解する必要はない。

例えば、ある一部の問題について和解し、その他の問題については公判で裁判官に聞いてもらい、判決をもらうこともできる。

 

配偶者が突然離婚訴訟を起こし、子供の親権を求めてきた場合

まず落ち着くこと。弁護士を見つけて、離婚の申立てに回答するのに30日間の猶予がある。

裁判所の命令がない限り、配偶者に子供を引き渡す必要はない。

また正式に親権が決まるまで、配偶者のどちらかが親権をもっているというわけではなく、配偶者のどちらにも子供と会う権利がある。

またもし可能なら、資産の計算をする。この資産は、配偶者との共同口座や資産も含む。また、会社が提供する年金(Pension)、個人退職年金(IRA: Individual Retirement Annuity)、年金(Annuity)なども含まれる。

離婚訴訟の初めに、ほとんどの裁判所はStanding Orderと呼ばれる服務規程を発行する。

服務規程(Standing Order)とは裁判所の命令で、離婚訴訟が行われている間、子供と長期間裁判が行われている群(County)から離れてはいけない、健康保険を解約してはいけない、保険料の支払いをやめてはいけない、家の電気やガスなどを止めてはいけない、などの項目を含む。

また、裁判が行われている間、家から離れたいと思わない限り、家を出る必要はない。しかし、身の危険を感じる場合は、家を離れることをすすめる。また、訴えてきた配偶者と一緒に住みたくないという理由で、家を出るケースも多いとのこと。

 

離婚について知っておきたいポイント

子供がいる場合、離婚する親のためのセミナーを受講する必要がある。群(County)が提供していて手頃な値段でセミナーを受講することができる。

妻は旧姓に戻すこともできる。

和解しがたい不和(Irreconcilable differences)以外に具体的な離婚理由を述べる必要はないが、特定の離婚の理由を述べることもできる。

同意していない(uncontested)離婚も、同意している(contested)離婚も、書類面では、ほぼ同じものが必要。同意していない離婚と同意している離婚の違いは、争う点があるかないかという違い。

弁護士は書類の作成のサポートもできる。

実に90パーセント以上の家族法関連の訴訟(離婚も含めて)は裁判所以外で和解し、公判には至らない。裁判所もなるべく、家族に関わる案件には介入したくないという心情があるので、和解率は高くなる傾向にある。

法律扶助(Legal aid)では弁護士を雇えない人への情報提供なども行っている。また、群(ジョージア州のCobb Countyなど)によっては、弁護士が任命される場合もある。

 

答弁書とは

答弁書とは離婚訴訟の申立に対する返答。

答弁書では申立てで配偶者が主張した点について、認めるか、否定することができる。

また、配偶者に対して、こちらから主張することもできる。

また、以下のようなリクエストもできる:

  • 子供の親権
  •  家の独占的な使用
  • 扶養手当、養育費
  • 弁護士用の負担など

また、必要に応じて、答弁書提出以降、弁護士は追加の申立てをすることもできる。

 

子供について

18歳までの子供は未成年として扱われる。また、いくつかの裁判所の命令は18歳以上の子供にも適用される場合がある。(例:大学卒業までの養育費の支払い命令など)

裁判所は「子の最善の利益」(“Best Interest of the Child”)という基準で、親権を決める。様々な要因が含まれていて、親子の関係、安全で安定した環境を提供できるか、なども考慮される。

父親だから、母親だから、という理由だけで、親権において有利・不利になることはない。

裁判所は子供に一番いいことを望む。

裁判所は、guardian ad litemという子供の権利を守る弁護士や、子供の代理人を務める弁護士を使う場合がある。

12歳から14歳またその上の子供は、どちらかの親と住みたいか「選ぶ」ことができる。

場合によっては、裁判所は監視下の訪問を命令することがある。監視下の訪問は、家庭内暴力をした親やアルコールや薬物依存症の親との面会の時に行われる場合が多いとのこと。

 

親権について

2種類の親権

  • 法的親権(Legal custody)
  • 物理的親権 (Physical custody)

法的親権とは、子供の法律的なことに関しての決定権を持つという意味。ほとんどの場合、配偶者間で共同となり、子供の医療、教育、学校の外での活動、宗教などを決める権利がある。また、子供の学校や健康に関する情報にもアクセスできる。

物理的親権とは、物理的な子供へのアクセスという意味。物理的親権を持たない親には、面会権(visitation)がある。さまざまな可能性があり、親や子供の状況に十分配慮した手配が可能。配偶者間で共同の物理的親権を持つこともできるし、一方の親が第一の物理的親権(Primary custody)を持って子供と住み、もう一方が第二の物理的親権(Secondary custody)と面会権を持つという場合もある。

 

親権について考えること

裁判所はどちらの親が子供に安定した環境を提供できるかを見る。

親権を評価する人(Custody evaluator)を雇い、どちらの親の下で暮らす方が子供にいとっていい環境なのか調べることもできる。

また、guardian ad litemという子どもの権利を守る弁護士をつけることもできるが、親権を評価する人やguardian ad litemを雇う場合、追加費用($2500から$10Kがジョージア州アトランタでの費用の目安)が必要なので、離婚訴訟の費用が高額になる場合がある。

また、親権の問題は、子供のみではなく、ペットにも適用される。

 

面会権(子育ての時間)

面会権(Visitation)は、最近では子育ての時間(Parenting Time)と呼ばれることが多くなった。

面会権(子育ての時間)は、さまざまな形をとる可能性がある。

一般的に、一方の親が第一の物理的親権を持ち、もう一方の親が子供との子育ての時間を得る。

子育ての時間は、明確に、どの週末、どの曜日、何時までと細かく決められるのが一般的。

そのような細かなスケジュールを、裁判所は、子育て計画(Parenting Plan)と呼ぶ

子供との面会は、家庭内暴力などがあった場合、監視下で行われることがある。 その場合、第三者がいる状態で、子供との面会が行われる。

また、親同士お互いの合意があれば、決められた時間、日にち、場所、以外での面会も可能。(例えば、子供を迎えに行くのに、渋滞等で定時に遅れそうな場合は、親同士がお互いに協力して調整することを裁判所はすすめる。)

弁護士は、あなたの子育ての時間(Parenting Time)が十分取れるような子育て計画(Parenting Plan)を作るのに協力できる。

 

子供の養育費

養育費の金額設定

一般的に、親権を持っていない親から親権を持っている親に支払われる。

子供の養育費は、両親の収入、子供の保険、託児所の費用、子供と過ごす時間などを含む様々な事柄が考慮して計算される。

また、一方の親が遠くに住んでいる場合、子供の旅費が、子供に持病がある場合、医療コストが考慮される場合がある。

子供の養育費は複雑なので、弁護士と相談することをおすすめする。

養育費の支払い方法

様々な方法で支払われることがある:収入からの天引き命令、電子送金(wire transfer)や郵送など。

裁判所は、分割支払いや、支払う側の親の給料日に合わせて支払いを命じることもある。

子供の養育費は、子供の保険や学校外の活動(空手、サッカー、ピアノなどの習い事)なども含む。

ジョージア州では、養育費は子供に与えられた権利なので、自発的に放棄はできない。

 

扶養手当

扶養手当(Alimony)は、配偶者支援(spousal support)とも呼ばれる。

扶養手当は、一方の配偶者からもう一方の配偶者に支払われるもの。

扶養手当は、要求した側の必要性と支払う側の支払い能力などを基準に決められる。

扶養手当に関して、裁判所に大きな裁量が与えられていて、離婚裁判が行われている場所、裁判官、個別の案件の事実などで大きく変わってくる。

扶養手当に関しては、様々な要因があるが、以下の点が考慮される:

  • 年齢、要求した側の自立性
  • 結婚生活において、誰が生活費を賄っていたか
  • 職務履歴、教育レベル
  • 資産、経済状況など

また、裁判所は結婚していた期間も考慮する。結婚年数15年と1年では、扶養手当が出たとしても金額が変わってくる。

扶養手当の期間も様々。2年間や仕事が見つかるまでという一時的なもの。どちらかが死ぬまで、再婚するまで、といった永久的なもの。保険の支払いや、家のローンの支払い、弁護士費用の負担など別の形でのサポートも可能。

 

国際的な問題

ハーグ条約

国際間の条約で、国際的な子供の親権争いに影響を及ぼす。

通常、一方の親がアメリカ国外に子供を連れ出し、アメリカに戻ってくることを拒む際にハーグ条約が適用される。

ハーグ子供奪取条約

子供を守るため、子供が住んでいる国に速やかに帰らせて、親権問題を現地の裁判所で解決させる国際的な取り決め。

アメリカでは、the International Child Abduction Remedies Actという法律のもと、ハーグ条約が施行されている。

国際的な問題は複雑で複数の国や地域の法律に関わってくるので、国際家族法を専門とする弁護士の助けが必要。

 

軍関係の問題

アメリカ軍の軍人と離婚する際は、軍の法律が適用される。今回のウェビナーでは、すべてカバーできないが、重要なポイントを幾つか紹介。

軍関係の手当は、特別な扱いをされる場合がある:

退役軍人局 (Veterans Affairs)の障害給付金 (disability benefit)は離婚において、資産分割の項目には入らないが、子供の養育費の計算には使われる。

兵役退役金 (duty retirement benefit)は資産分割の対照になる。

「10年」の神話:軍人ではない配偶者が、軍人である配偶者の兵役退役金の一部を結婚期間にかかわらずもらえるという神話がありますが、これ誤り。正確には、結婚期間が10年以上で、現役兵役勤務と10年以上結婚期間が重なる場合、軍が兵役退役金の分割を行う。

養育費用の収入の計算方法=基本給+食事手当+住居手当(生活費調整は含めない)

親権問題がある場合、裁判所は軍の指揮官に提出する家族ケア計画 (Family Care Plan)を見たがる。また、軍に戦地などに派遣された際の、子供の第一親権者が元配偶者でない場合、特別な理由が求められる場合がある。

 

軍関係者用の保険:トライケアの保証

一般的に、離婚が完了した段階で、民間人の配偶者は、トライケア(Tricare)の健康保険の保証から外れることになる。

しかし、以下のような例外もある:

20/20/20ルール:トライケアを継続できる条件:①20年以上の結婚期間、②20年以上の兵役、③少なくとも結婚期間と兵役が20年以上重複しているという条件を全て満たしている場合。

20/20/15ルール:トライケアを一年間継続できる条件:①20年以上の結婚期間、②20年以上の兵役、③少なくとも結婚期間と兵役が15年以上重複しているという条件を全て満たしている場合。

アメリカ軍の軍人と離婚する際は、軍の法律が適用されるので、軍人との離婚を専門とする家族法の弁護士を雇うことをすすめる。

 

離婚の後の話:変更

変更 (Modification)とは、離婚後に行える手続きで、親権や養育費に関して、変更の申立てを裁判所に提出できるシステム。

親権の変更

この親権の変更は、面会権 (Visitation)の変更も含む。

親権の変更に回数や期限の制限はなく、条件を満たしていればいつでも手続きが行える。

養育費の変更

養育費の変更には、「経済的な環境の大きな変化」(a substantial change in financial circumstances) が求められる。

この養育費の変更では、養育費を増やすことも減らすこともできる。

養育費の変更は、2年毎にしか手続きが行なえない。(一度変更が行われれば、次の変更の手続きまで、最低2年待たなければならない。)

注意:訴訟における反訴請求(Counter claim)や侮辱罪(contempt)の場合、変更の申立てはできない。

 

離婚の後の話:侮辱罪

侮辱罪 (Contempt)とは、裁判所の命令に従うことを意図的に拒否すること。

一方の配偶者がやるべきことをしていない時に侮辱罪の申立てをすることができる。

侮辱罪には様々な形があり、表面上は従っていても、裁判所の命令の「趣旨」や「目的」の侵害をしただけで、侮辱罪になる可能性がある。(例:扶養手当を1セントコインで支払うなどの嫌がらせ。)

侮辱罪の申立ては、命令が出された裁判所がある群で提出する。(例:フルトン郡で養育費の命令があり、元配偶者がその命令に従わなかった場合、コブ群に住んでいても、フルトン郡で侮辱罪の申立てを行う必要がある。)

侮辱罪の申立てを行う場合、相手側に弁護士費用を請求することができる。

裁判所の命令に従わなかった場合、侮辱罪の罪を逃れることは難しいので、裁判所の命令には、従うように。

 

質問の時間に話された話題

  1. 妻が夫から弁護士費用をもらえるのはどういうときか?
  2. 扶養手当について詳しく教えてください
  3. クリエイティブな子育て計画の事例を紹介して下さい。また、離婚後、子供と日本で暮らしたい場合は、どうすればいいですか?
  4. 家庭内暴力があり、子供が親を怖がっている場合、どうすればいいですか?
  5. 配偶者に知られずに離婚することはできますか?
  6. 永住権やアメリカ市民権などの移民ステータスの違いが、離婚後日本へ帰る場合、どのような影響をおよぼしますか?
  7. 離婚することになる前に、事前に対策準備など何かできることはありますか?
  8. 離婚した場合、遺産相続に変更はありますか?
  9. 離婚訴訟中に日本に子供を連れて一時帰国しなければいけないときのハーグ条約対策は?
  10. 離婚訴訟を起こされても、離婚したくない場合、どうしたらいいですか?
  11. 浮気の証拠がある場合、離婚訴訟を有利に持っていけるのか?
  12. 永住権申請の際に、配偶者は扶養を約束しますが、その約束は離婚の際にどのような影響を及ぼします?

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